税理士試験の受験資格要件見直し 税理士になった立場で感じたこと

2022年3月22日に税理士法等の改正が国会にて成立しました。

改正内容の1つに、

「税理士試験の受験資格要件の見直し」

が含まれています。

端的に言えば、これまでよりも税理士試験を受験し易くなりました、ということ。

(試験内容が簡単になる、ではありません。
受験資格を得やすくなった、です。)

このことについて感じたことを、働きながら合格までに12年かかってしまった税理士の視点でつらつらと書いてみます。

スポンサーリンク

改正の内容

今回の受験資格要件の改正は、2023年4月1日より施行されます。(今夏の試験から、ではありません。

改正前後での受験資格の変更点は次の通りです。

改正前改正後
会計科目(簿・財)1.学識による受験資格
 ⑴下記に該当し、法律学又は経済学科目を1科目以上履修した者
  ①大学・短大・高専 卒業者
  ②大学3年次以上で62単位取得者
  ③一定の専門学校の専修課程修了者
 ⑵司法試験合格者
 ⑶公認会計士短答式試験合格者

2.資格による受験資格
 ⑴日商簿記1級or全経簿記上級合格者
 ⑵会計士補

3.職歴による受験資格
 次に掲げる事務又は業務に2年以上従事した者
 ⑴弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士の業務
 ⑵法人又は事業を営む個人の会計に関する事務
 ⑶税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務
 ⑷税務官公署における事務又はその他の官公署における国税若しくは地方税に関する事務
 ⑸行政機関における会計検査等に関する事務
 ⑹銀行等における貸付け等に関する事務

4.認定による受験資格
 国税審議会より受験資格に関して個別認定を受けた者
不要
税法科目同上1.学識による受験資格の⑴について、赤字部分が社会科学科目へと範囲拡大

これまでは受験資格ルートとして、

  • 大学等への進学をしていない方……日商簿記1級or全経上級に合格して税理士試験へ挑戦
  • 学識要件を満たしている方……法律or経済学の単位を取っていればOK

というのが主要な受験資格要件取得の方法でした。

日商簿記1級が難しく、なかなか税理士試験へステップアップできなかったり。

(全経上級の方が簡単、ということも聞きますが、自分は全経の経験が無いため言及しません)

大卒であっても、法律or経済学の単位を1つも取得しておらず、税理士試験のために放送大学の単位を科目履修で取得したり。

(私自身は教員免許取得のために必修科目として「日本国憲法」の単位取得をしていたためOKでした。
というよりこの単位以外に法律or経済学の単位取得をしておらず、要件に引っかかって安堵した次第です。)

上記を満たせない場合には税理士事務所などで2年働いてようやく受験可能と。

……まぁこれでは、受験資格を得るまでの入口の段階で、受けようとする人数が減りますよね。

制度的にも、意欲的にも。

この点で今回の改正で簿記論・財務諸表論について受験資格が不要となったことで、受験者に対する入口は確実に広がるのではないでしょうか。

そして、この変更による日商簿記1級&全経簿記上級の受験者数がどのくらい減少するのか、こちらも気になりますね。

改正について嫌な気持ちには全くならない

私個人の意見として、今回の改正はこの業界を目指そうとする方(特に若年層)が増加する可能性を含んでいるため、良い改正ではないかと感じています。

効果の程がどのくらいか、というのは置いておいて。

そもそもこの業界の年齢ピラミッドは歪みに歪んでいます。

平均年齢60代、とも言われていますから。

私自身30代後半ですが、この年齢で「若手」「若い」と言われることに違和感しかありません。

組織の中において年齢が上の方が知識と経験を武器にする一方で、

年齢が下の方が時代への即応性や勢いを武器にし、

これらのバランスによって組織の成長が促されることは間々あります。

今回の改正により、業界の在り方として、良い方向へ向かってゆくかもしれないですね。

また、この改正によって、

「俺は苦労して資格を取ったのに、楽になりやがって!」

というような感情は一切ありません。

自身が受験してきた中で不便だなぁと感じていた箇所が改善されるだけですから。

殴られて育ったから、次の世代も殴って育てるべき。とは思わないのです。

殴られたのは痛かったから、次の世代は殴らない方法を取らねば。といったところでしょうか。

そして、資格取得までが難しいことによる参入障壁を喜び、少数であることによる既得権益を考えてしまうようになってしまうと、そこには受験していた当時の挑戦者意識は存在していないことになってしまいます。

これからは新たな世代が増えてくることでしょうし、自分自身は挑戦者として引き続き邁進するのみです。

まとめ

税理士試験の受験資格が変わることについて、思ったことを綴ってみました。

年齢が上の方からも、下の方からも、学ぶことは沢山あります。

私は業界の片隅にひっそりと存在しているだけではありますが、魅力ある業界に変わってゆくのであれば嬉しいですね!

というより20代で士業でバリバリ働いている方々って格好良くないですか?(手に入らないものに対する単純な憧れです)


【振り返り】

MotoGP第2戦インドネシアのMoto3を録画視聴。

日本人ライダーは全体的に低調でしたね。

佐々木選手は前戦に続き速さを見せていたものの、今回もノーポイント。

次戦こそポイント獲得を期待しましょう!

スポンサーリンク