「すぐできる」「簡単だから」という言葉を信じない。使わない。
先日参加した支部会にて、一般社団法人・一般財団法人の会計・税務についてのセミナーを受講しました。
過去に実務での経験がありますが、良い記憶ではありません。
その記憶をせっかく思い出したので、自戒の意味を込めて。
苦い記憶
今回のセミナーを受講して、一般法人と一般社団法人・一般財団法人の会計・税務について違いを学ぶことができました。
過去に自分が躓いてしまった点については、確かにその論点があったと思い出したり、その苦い苦い記憶を振り返ったりもしながら。
過去に私が一般社団法人の担当をした事務所では、一般社団法人についてのノウハウを有していませんでした。
だからといって事務所としてノウハウを構築するつもりではなく、既存のお客様からの話を安請け合いし、税理士ではない従業員（私）に丸投げしたと言うのが実際のところ。
先方には過去に「非営利だから非課税でしょう」とだけ話し、申告のお尋ねが各所から届いたところで「見てみましょう」と引き受け、
丸投げ先の私には「非営利のはずだから、内容だけ確認しておいて。ほとんど活動していないらしいから簡単だから。」といった具合でした。
現実はその見立て通りに行くはずもなく。
時間を費やし分からない点を調べると調べるだけ、事務所側が当初先方に説明していたことと異なる手続きが必要だと明らかになってゆきました。
- 非営利→非営利だが収益事業を行っていた
- 非課税だから放置→要申告
- 非課税→場所により均等割発生（減免はあったが、期限後申告では減免適用できず）、収益事業分は当然課税
検討に時間がかかり先方に謝罪し、資料を提出していただくことをお願いし謝罪し、納税額や今後の流れを説明して謝罪し。
お客様に非はありません。
知りもしない、出来もしないことを適当に回答し、安請け合いしたこちら側の体質こそが問題なのです。
税理士としての仕事とは何なのか、当時とても考えさせられた苦い記憶です。
「すぐできる」「簡単」ならば、過程を説明できるはず
この業界に入ってから、何度もこの言葉で嫌な思いをしてきました。
お客様の前で「簡単にできますよ」→「植村が行います」の宣誓丸投げ。
未経験業務です。私が簡単にできるなんて、自分自身が最も知りません。
後で話を聞いてみると、「自分もよく分からないから調べてやってね」、とだけ。
私の経験値になるのはありがたいです。ですが、お客様に適当なことを言って期限を極端に早める必要はありましたか？
仕事を振る際に、中身の説明はほぼ無く「簡単だからすぐできるよ」とだけ。
蓋を開けてみると、過去から数字が合っておらず、不明点や検討事項は置き去りのまま。
入力するだけであれば「すぐできる」が、それは税理士事務所の仕事としては違いますよね。
「簡単」「すぐできる」のであれば、業務指示としてはその過程までを説明できるはずです。
自分は分からない、知らない。それをどうして「簡単」と言い切れるのか。
また、部下の成長を促すのであれば、期限や立ち回り方といった意を含んだ指示となるはずです。
曖昧な指示しか出せないのに、どうして「すぐできる」と断定できるのか。
この言葉は都合よく使われることが多く、他者との関係性を歪める可能性がある。
自分はそのような位置付けとするようになりました。
甘い見積もりは命取り
「簡単」「すぐできる」はいつか自身の足元を掬うと考えています。
・簡単だからチェックや検討はサラッと済ませておけばいい。
→注意力が落ちておりミスを見逃す。
・すぐできるから後回しでよい。
→内容をざっくりとでも確認しておけば、時間を要する重要論点が含まれていることに気付けていた。
私自身、上記のような判断で何度も痛い目にあってきました。
現在は頼れる先輩はいません。部下の仕事をチェックする立ち位置でもありません。一人です。
だからこそ、自分にも、お客様にも、甘い見積もりをすることがないよう気に留めておかなければならないです。
自ら論点を覆い隠すことのないように。
まとめ
自戒の意味を込めて過去の記憶を振り返ってみました。
「簡単」「すぐ」と思ってしまった時、その理由を説明できるか考えることにしています。
説明できなかったり、個のパフォーマンスに拠らざるを得ないのであれば、その言葉は適当ではない可能性大です。
私達の仕事も、こちらは経験があるからできますが、お客様からするとお困りで依頼して下さっているものですから。
お客様に寄り添ってご相談を受けられるよう、この言葉は常に意識することにします。
【明日に向けて】
打ち合わせの日程が変更になったので、登録時研修とHP更新を中心に。